[Interview] Slaves~退屈も原動力に、DIYに突き進む

イギリスはロンドンの南に位置するケント出身、アイザック・ホールマン(ドラム、ボーカル)、ローリー・ヴィンセント(ギター、ベース、ボーカル)の2人からなるバンド、スレイヴスがサマソニで初来日。HTEでは東京でのライブを終えたばかりのバンドから、アイザックにインタビューしました!サマソニでのライブでは通訳をステージに立たせて曲の意味を喋らせたり、オーディエンスを煽ったりと彼らのライブを始めてみる人たちのこともしっかり楽しませていました。そして、オーディエンスも途切れることのないモッシュなど大熱狂のリアクションでそれに応えていたのも印象的。音楽はパンキッシュで怒りにも溢れているけれど、ライブではこちらを笑わせてくれる。取材ではどんな顔を見せてくれるのかと思っていたのですが、今回のインタビューでは意外にも素直で真面目な感じで何ともビックリ。これは新たな一面…!

デビュー・アルバム『Are You Satisfied』も是非チェックです!

Slaves main

― では早速始めさせていただきたいと思いますが、今回私たちにとってあなたたちにインタビューする初めての機会なので、まずは基本的なことから聞かせてもらってもいいでしょうか。バンド結成の経緯について、特にこのデュオで、しかもドラムはスタンディング、という編成に至った部分を中心に教えてください。

僕が以前に別のバンドをやっていたとき、ローリーがよくお客さんとして見に来てくれていたんだ。ある晩、一緒に飲みに行った時に(ローリーが)「もしベーシストが必要なことがあったら声かけてくれよ」って言ってくれてね。そしたらその1週間後にバンドのベーシストを辞めさせることになっちゃったんだ。それでローリーに電話してバンドに入ってもらったよ。数ヶ月一緒にやっているうちに、僕とローリーはそのバンドのやろうとしていることに対してあまりハッピーになれないってことに気づいて、それで二人でバンドをやめてスレイヴス始めたんだ。

最初はSlavesを他のメンバーも入れてフル・バンドにしたかったんだけど、僕らの住んでいる町では、僕らのやりたいことを本気で一緒にやりたいって人が誰もいなくてね。そしたらローリーが僕の家にドラムをふたつ持ってきて、「これで最低でもビートが作れるし、曲が書けるよ」って言うんだ。正直なところ、その日まで一度もドラム・スティックを手にしたことも、ドラムをプレイしたこともなかったんだけど、結局そのままふたりでやることになったんだ。

― あなたたちの住んでいる町といえばロンドンから離れたケントですよね。音楽キャリアを築いたり、バンドとして台頭してくるのにロンドンから離れていることが不利だなと思うことはありましたか?


うーん・・・(ちょっと間が空いて)そんなことはないと思うな。僕らは自分たちの出身地を誇りに思っているよ。ケントや、ケントと同じくらいロンドンから離れた周辺の町出身のバンドって実はたくさんいて、そういうバンドって「ロンドンのバンド」ってひとくくりにされたり、そういうふうに自称している人たちもいるんだけど、僕らはいつも「ロンドンのバンド」って言われる度、訂正してきた。それに、ケントみたいな何もない町に住んでいるからこそ音楽的にインスパイアされることもあるし。あと、退屈な街だからこそ「自分で面白いことをやってやろう」って気持ちが生まれる。とかね。

*ケントはイングランド南東部に位置する州。州の一部エリアはロンドンにも1時間ほどでアクセスできる通勤圏でもある。

― そういえばケントのナイトクラブから出禁にされたって話をちらっと聞いたのですが本当ですか?

えっ!?(ちょっと慌てた感じ)バンドが?僕が??えーと、一度だけね、友達と1日中呑んだくれて、それでその夜にライブをやった時があって、地下の小さなのライブハウスだったんだけど、ライブハウスの常連客と大げんかになっちゃって、ギャラを払ってもらえないまま出なきゃいけなかったってことはあったよ。

― そうですか・・


で、でもね、でもね(かなり慌てた感じ)、もう済んだ話で、良い教訓になっているし、本当にその一度きりだし、もう2度と同じことは起こさないよ!!

― そうなんですね(笑)。では、音楽性について聞かせてください。あなたたちの音楽は怒りに満ちていて、またシンプルなリフや怒りに満ちた歌詞なんかは、昨今のシーンにはあまりなかったものにも思えます。昔のパンク・ミュージシャンとの共通点も感じますが、自身ではパンク・ミュージックからの影響を強く受けていると思いますか?

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そうだね。そう思う。すべての音楽から影響を受けているし、60年代の音楽にも影響されている。一番の影響源は社会そのものだけど、古いパンクも間違いなく大きな影響源のひとつだと思う。父さんが音楽をすごく好きだったから、小さなころからたくさん古い音楽を聞いて育ったんだ。

― 具体的に、特に影響を受けたアーティストはいますか?

そうだなぁ、顕著に影響を受けているって言えそうなのは、ザ・クラッシュとか、あとワイヤーのようなポスト・パンクのバンドとか、ジョイ・ディヴィジョンとかかな。


― BBC Radioの企画でスケプタの「Shutdown」をカバーしていましたが、ヒップホップやグライムのような音楽も、もともと好んで聴いていましたか?(Radio 1’s Big Weekendではスケプタと共演

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うん。そうだね。僕らめちゃくちゃヒップホップやグライムにはまってるよ。最近はどんなロック・ミュージックよりもグライムやヒップホップの方を多く聞いてるんじゃないかな。僕ら2人ともグライムのサウンドが大好きなんだ。今のグライム・シーンがやっていることってすごくエキサイティングだと思うよ。それこそパンク精神が根底にあって、D.I.Yでやりたいことをやりたいように創り上げていて、すごく共感するな。

― ロック・シーンよりもグライムやヒップ・ホップ・シーンに共感するということですか?あと、今のUKのロックシーンについてはどう思います?UKの若手のバンドで特にシンパシーを感じる人たちはいますか?

いや、今のUKにはロック・シーンも確実に存在していると思う。力強い音楽活動で確実にその名を広めている人たちがちゃんといるからね。ピースのようなバンドはその代表だと思うし、今は僕らは日本にいるからすこし外れてしまっているけど、僕らも含めたそのあたりのバンドが同じツアー・サーキット、フェス・サーキットを回っていてロック・シーンを盛り上げていると思うよ。でも、今のUKではグライム・シーンが本当に本当にエキサイティングだと思うな。ストームジーとかノヴェリストとか、若い才能が出てきていて、 “新しい音楽が生まれて、そこに人が集まっている”って感じがあるよ。

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― 現在は、イギリスにおいてパンクがより盛り上がっていた頃と比べると、単純に「怒り」に限らず、ロックバンドが政治に対してあまりオープンでない、あるいは単に意見もあまり表明しない傾向にあるように見えます。あなたたちも周りの若いロック・ミュージシャンと同じく、例えば「投票」などの形での政治参加にはあまり期待しない方ですか?ロック・ミュージックはもっと社会の状況を反映させるべきだと思いますか?

パンクってキーワードが出ると、「何か政治的な態度やメッセージを持っているだろう、持っていないといけないだろう」と想像しがちだと思うんだけど、僕らは「そんな必要はない」っていうことを見せたいと思ってるよ。それは政治のことなんかどうでもいいと思っているってことではなくて、曲を書くのに政治的なことだけを動機にはしていないということ。広い意味で言えば、僕らの曲は社会全体をドキュメントしていて、その中に政治も含まれるわけだから、政治的と言えるかもしれないけど、自分たちの音楽を政治と同列に並べたくないんだ。そこから距離を置くことによって音楽は力を持てると思うから。僕らの曲にはシリアスな内容のものもあるし、意味深に聞こえる、だけど何かについて揶揄してるわけじゃないって曲だってある。僕のルールはただ自分の作りたいものを作るってことで、そこは厳格に守るようにしているよ。

― それから、いまイギリスの音楽シーンで活躍するアーティストには、メインストリームに限らずインディのシーンも含め、労働者階級出身のようなタイプの人があまりいないということも多く指摘されています。メインストリームのポップ・シーンにも音楽学校に子供を送れる経済力を持った家庭に育ったような人が目立ちますが、こういう現象についてはどのように思っていますか?

うーん、どうだろう。僕とローリーはリッチな両親がいて音楽学校に行ったりっていうのとは全然違うからなぁ。例えば、医者になるとか、物理学者になるっていうと、学位や資格って必要なんだろうけど、僕個人的には、自分が情熱を注ぐことができるクリエイティブなことをわざわざ「勉強」しないほうが良いと思う。だって、誰かに習いに行くと結局「どうすればいいか」ってことを人に教えられるわけでしょ?それってクリエイティビティと矛盾すると思うんだよね。だから自分のやりたいようにやるってことに注力してたほうが良いと思う。君の言っている通り、今そういう音楽学校で勉強してきたバンドも結構いるのは事実だけど、僕らは違うってだけ。

― あなたたちのシングルのいくつかはBBCのRadio1でもA-Listに入ったりと、広くアピールすることにも成功していますよね。でも、あなたたちはそれに対して、「Weird」とも反応していますし、あなたたちには何かアンダーグラウンド志向のようなものが垣間見える気もします。やはり自分たちの音楽はチャートで売れたり、あるいはラジオで大量にオンエアされる種類のものではないなと感じでいますか?

「自分たちは恵まれているな」って感じているし、僕らが置かれている今の状況の全てにとにかく感謝しているよ。今みたいなビッグな立ち位置に来れるだなんてまったく思ってもいなかったしね。このバンドで一番最初のリハーサルをやった時なんて、ふたりともひどいもんだったし、あまりにもミニマルでむき出しのサウンドだったから、お互いに誓いあったんだ。「ステージでライブなんかぜったい出来っこない!」ってね。だから(この編成で)上手く回り始めた時は驚いたし、それを楽しんでいる自分たちも意外だった。今だって、日本に来ることができて、自分たちの好きなことがやれて、ライブができて、もうほんと恵まれている。ビューティフル、ほんとビューティフルで最高だよ。今はただ、「どこまでいけるのか見てみたい」と思ってる。さっきも言ったけど、今いるところの半分までも来れるとも思ってなかったからね。ただこれを続けていくのみだよ。

― では、ビッグ・スターになる準備は出来てる?


ビッグ・スターか・・それはどうかな(笑)

― 今後長いツアーをしたり、次作を出すにあたって、将来的にはどのようなバンドでいたいと思っていますか?

今はただ、どこまでいけるのか、できる限りやってみて、どうなるか流れに任せたいってことしか考えられないな。できるだけたくさんのところに行って、できるだけたくさんのライブをやって、できるだけ多くの人に会いたい。アメリカにもツアーに行きたい。日本に来ることも目標のひとつだったんだよ。日本でライブをやりたいと思ってたんだ。

― そうですか!日本の残りのステイもどうか楽しんでください。今日はありがとうございました。

Interview: Minae Tani, 山本大地

サマソニでのライブも大盛り上がりし、日本での滞在をとても楽しんだようですが、その様子をなんと7分半に及ぶクリップにまとめております!そしてこれが何とも笑えるポイントだらけ!インタビューを読んだあなたに、「こいつら本当は真面目な男たちなんだぜ!」と言いたいところですがやっぱり…….

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