[Interview] Christopher Owens

電撃的なバンド脱退宣言からおよ半年ほど。遂に先週初のソロ・アルバム『Lysandre』をリリースした元ガールズのフロントマン、クリストファー・オウエンス。
00年代後半のUSインディ・シーンにおいても一際異彩を放つと同時に、唯一無二のカリスマ性をも発揮していた彼が踏み出した新たな一歩についてと、少々プライヴェートなことについてなど、様々なことを訊いてみました。

―まず、今回のソロ・アルバム『Lysandre』の完成おめでとうございます。今回のアルバムを完成した今、振り返ってみてどうですか?

すごい満足しているよ。自分で今聴き返してみても良い作品だなって思えるくらいにね。ガールズとしてのレコーディングとはまた違った試みだったから、それが無事達成できたっていう嬉しさもあるしね。

―ガールズ脱退の知らせを受けてから、まさかこんなに早く新作が完成するとは思っていませんでした。何でも曲は前々から書いていたようですね。

そうだね、曲自体は既に完成していたし、何より暇になるのが嫌だったから、ソロ・アルバムの制作を思いついてからすぐに取り掛かったよ。

―今作は実際に起こった出来事を時系列順に並べたコンセプチュアルな作品になっていますが、これは曲を書いている段階から構想を練っていたのでしょうか?

うん、それは作曲段階から考えていたよ。

―あなたは作曲がもはや生活の一部になっているらしいですが、例えば今書き溜めている楽曲だけで何枚くらいアルバム作れると思いますか?

えーと……うん、曲自体はかなりある。(笑)
今作の楽曲はちゃんとアルバム全体の構想を考えてから書いてたんだけど、普段はそういったことを全く考えずに1曲ずつ単体で作ってるから、アルバム何枚分っていうのは難しいな。(笑)
でも、アイディアとしてはアルバム4~5枚分くらいはあると思う。今も増え続けているしね。

―今作の楽曲はガールズの2ndアルバムである『Father, Son, Holy Ghost』と比べると、かなりシンプルな作りですよね。何か制作時に意識していた作品や、影響を受けたと自覚するような作品はありましたか?

特にこれから影響を受けたとかはないんだけど、もちろん自分が今まで聴いてきたレコードとかからの影響が無意識で反映されているだろうとは思うね。あと、各曲がシンプルな構成なのは意識的で、その方が曲毎の変化やプロダクションの違いが際立つと考えたからなんだ。

―ガールズ脱退については「個人的な理由」と言っていましたが、今でも具体的な理由を公表するつもりはないのでしょうか?

もちろん今となっては理由を話すことはできるよ。まず一番大きいのは自分の仕事のやり方。バンドではできないような試みを色々試してみたくなったし、自由に自分のやりたいようにやってみたくなったんだ。あとは作曲活動を続けていくうちに、作曲するという行為そのものがよりパーソナルなものになっていったように思えてね。それをバンドに渡してバンドとしてリリースするっていう形に違和感を覚えるようになったんだ。

―ちなみに、あなたはガールズを脱退するという形で抜けましたが、バンド自体は今後どうなっていくと思いますか?

もう彼らはバンドじゃないんじゃないかな。ガールズが新たな作品をリリースするっていうことはあり得ないと思うよ。

―今作にはEvan WeissやMatthew Kallman、Hannah Huntなど、あなたと昔から縁のあるアーティストもいる一方で、あなたとの接点をあまり感じられないアーティストも多数参加しているように思います。例えばSax奏者のVince Meghrouniなど。今作参加ミュージシャンとどのように出会ったのでしょうか?

EvanとMatthewは確かにガールズ時代から一緒に演奏していたんだけど、実はレコーディングでは一回も一緒にやったことがなかったから、是非一度一緒にやってみたいと思って声を掛けたんだ。で、Hannahは僕の恋人。他のミュージシャンは知り合いに紹介してもらったりして知り合ったんだけど、フルートとサックスを担当したVinceは、僕の周りではその楽器を扱えるのが彼くらいしかいなかったんだ。(笑)

―今までのバンドでのレコーディングというのは、おそらくJR主導でしたよね? 今回はソロ作品ということで、自らが舵を取らなければいけなかったと思いますが、そういった点で苦労した点などはありますか?

いや、最初の頃は確かに彼が主導だったけど、それは彼が機材に対する知識を持っていたからっていうのと、そもそも僕らの間で意見の相違が全くといっていいくらいなかったから。だから2人で一緒に作ってたって言う感じかな。で、後半は僕が「こういう風に作ってくれ」って説明して、彼がそれを形にしてくれたっていう感じだったんだ。だから、今回も方向性で迷ったりとかはなかったな。周囲の人たちも親切に色々助けてくれたしね。

―なるほど。ところで、今作に限らずこれまででもあなたの楽曲では実際の友人であったり恋人であったりと、素敵な女性がモチーフになっているものが多いですよね。そういった素敵な女性と多数で会える秘訣みたいなものはあるんでしょうか?(笑)

ハハハ、僕にはわからないよ。(笑)
……でも、あえて言うなら、相手の目を見ることじゃないかな。あと、僕のこれまでの生活って言うのは様々な土地を移り住んできたから、そういった意味では出会いは他の人より多かったのかもしれないね。

―ちょっとプライヴェートな質問ですが、例えば違う女の子のことを作品にして、今の恋人であるHannahは嫉妬したりしませんか?

ハハハ、それは大丈夫。(笑)
このアルバムの曲については、彼女に出会う前の出来事の曲だってことを彼女も知ってるし、もう3年くらい付き合っているから、例えこれからも違う女の子についての曲を僕が作ったとしても、それはその女の子に向けているのではなく、僕自身の感情を表現しているっていうことを理解してくれているからね。だから、何も心配はしなくていいと思っているよ。

―なるほど、とても素敵な仲ですね。

逆にそこに理解がなくて、嫉妬したり心配しちゃったりするような人とは、一緒にはいられないよね。

―あなたはサンローランのキャンペーンのモデルに起用されたそうですが、そのように自身が音楽以外の側面で注目を集めることについてはどう感じますか?

少し変な気もするけど、でも全然悪い気はしないよね。エディ・スリマンとも友達だったし、実際すごいエキサイティングしたしね。他人がどう見られてるかは正直もう気にしていないんだ。だから、やるんならやる。やらないならやらないって決めた方が良いと思って。だって他人からどう見られてるかとかを心配しながらやるのはカッコ悪いでしょ?(笑)

―ちなみに自身のファッションについてこだわりなどはありますか? 昔はバンドTシャツを着てるイメージでしたが、最近はちょっと変わってきていますよね。

うん、確かにバンドTシャツはいっぱい持ってる。でも、今は昔よりももっとシンプルな、シャツとパンツが好きなんだ。どこどこのブランドが~とか言うのは全くないけど、全く知らない人から「え、あなたミュージシャンなの?」って言われるような普通な感じの服装がお気に入りなんだ。
何か今の時代のミュージシャンって、一目で「音楽やってる」っていうのがわかるような格好のやつらがすごい多い気がするんだよね。自分にとってはそういうのって退屈だし、ちょっと幼稚だなって思うから、今はクラシカルなスタイルを心がけているんだ。

―今作のアートワークを手掛けたライアン・マッギンリーとは昔から友人だったそうですが、彼との出会いはいつ頃まで遡るのでしょうか?

3年くらい前に彼が自分の写真集と「あなたの音楽がとても好きです」っていう内容の手紙を送りつけてきたんだ。で、その後にたまたまNYにツアーで行った時に彼を招待して、初めて会ったんだ。それでライブ後には彼の家にも遊びに行って……って感じかな。それ以来この3年間で仕事以外でも何度も会って一緒に遊んだりしたんだ。で、いざこのアルバムのアートワークを考えていた時に、彼のことがふと頭によぎって、有名なカメラマンだし(笑)、頼んでみよう!って声を掛けてみたら快く承諾してくれたんだ。本当にラッキーだよね。笑

―あなたはガールズの最初のアルバムを出した時、今までは昔の古いパンクやスウェードなどを好んで聴いていたと答えていたと思いますが、最近ではどのような音楽を聴いていますか?

うーん、ビーチ・ハウスやグライムス、ルーファス・ウェインライトの新作はすごい好きだった。あと、坂本慎太郎のソロもすごい良かったな。

―最近あなたは良くSky Ferreiraのツイートをリツイートしていますが、彼女のサウンドは?

うん、彼女の新しいEP(『Ghost』)はすごく良かった。まだ今後どういうアーティストになるべきなのかっていう方向性みたいなものは定まっていないような気がするけど、たぶんもう数年も経てばすごい良いアーティストになっていると思う。

―そのSky Ferreiraやグライムスなんかもそうですが、そういったエレクトロニックな音楽をフェイヴァリットに挙げるのが少し意外でした。

いや、エレクトロニックなサウンドも大好きなんだ。それこそブリトニーみたいなポップスも大好きだしね。ただ、ケイティ・ペリーとレディ・ガガは嫌い。(笑)

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Text:Takazumi Hosaka
Photo:Ryan McGinley

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