Titus Andronicus / The Monitor

Posted on 2010.06.23 
Filed Under album review

ここ最近の、ブルックリンをはじめとしたインディ勢の充実ぶりは、草食系アメリカンの音楽界での立ち位置を確立出来たようで見ていて嬉しくはある。だけど、そんなインディのシーンを俯瞰していて時に寂しさを感じる時もある。「ガツーンとした熱さや激しさで勝負するロックバンドはどこに行った」と。そもそもロックなんだから、激しくて当たり前のものだった。だが、2000年代以降の「ラウドでやんちゃ」な部分だけが低年齢層に向けてシステマティックに機能化するばかりですでに死に体。こういう状況を打破する意味で、なにかインディの側から、音楽的創造性を持った新しき激しい衝動が沸き上がってこないものか。そんな風に思っていたら実際にやって来たから本当に驚いた!

それを成し遂げたのはニュージャージー出身のタイタス・アンドロニカス。地理的にも近いブルックリンのバンド達から熱いカルト的支持を受けていた彼らの2ndアルバムは、あらゆる境界線を超えた、後の伝説化必至の金字塔。もともと“シューゲイザーmeets初期パンク”な、透明感と粗野さを奇妙に併せ持ったバンドではあったが、今作はそこに“南北戦争”というロックとしては不思議なコンセプトが付与されたことにより、そこにポーグスを彷彿させるアイリッシュ・フォークやカントリー、はたまたブルース・スプリングスティーンに通じる大陸的な土くささも加わり、時間軸やジャンルを悠々と破壊する熱い衝動の表現に大成功! 技巧や室内実験に頼りがちだった近年のシーンにおいて、全盛期のクラッシュのような前のめりで強引なこの創造の爆発ぶり。時間はかかるだろうが、何かの種はまかれた気がする。(沢田太陽)

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