Stuck on Nothing / Free Energy

Stuck on Nothing / Free Energyこのバンドが紹介される時、「DFAレコーズから異例のロック・バンドがデビュー」という冠が必ずと言っていいほど付く。それはこのレーベルのボスでありLCDサウンドシステムとしても活動するジェームス・マーフィーがプロデュースし、レコーディングでベースも担当しているという入れ込みようと、同時に彼の(最後となる)新作ともタイミングが重なっていたこともある。だけど、もうそろそろこのフレーズは要らないと思う。

元ホッキー・ナイトのメンバーが新しいバンドを結成というニュースが飛び込んできたのは、ちょうど去年の今頃。そして初めて聴いた曲が「Dream City」だった。前のバンドからは想像もしていなかった純粋なロックン・ロールに驚いた。そして同時に大好きになった。
フリー・エナジーの音楽は、今のシーンの一部に入れることができない。イメージはシン・リジィ、トム・ぺティ、チープ・トリック。5分以上もあるパワー・バラードや、ギュインギュイン鳴るギター・ソロ、ストレートな詞を歌う長髪のヴォーカルは、パワー・ポップやハードロック、グラムロックの要素がミックスされた、聴いてるこっちが思わず恥ずかしくなってしまうほどわかりやすいロックン・ロール。

チープ・トリックを世界中に知らしめたのは、日本の女の子たちの黄色い声だっていうことは有名な話。武道館ライヴのレコードが、オリジナル以上にかっこよく聴こえるのは、そのカリスマ性までもが溢れて伝わってくるから。まるでアイドルのようにファンに追っかけられて、ライブの最前列には熱い視線を向ける今にも失神しそうな女の子たち。そしてバック・ステージにはグルーピー。時代のロック・スターを生み出すパワーはいつだって女の子たちが持っていた。それは過去のものになってしまったのだろうか。

インディ・ロックはインテリのものじゃない。ヴァンパイア・ウィークエンドやMGMTなど新しい世代からも「ポップになったっていいんだ!」って動きが出てきている。だから今、ステージの最前列でキャーキャー言って 、いつの時代にもロックを盛り上げてきたガールズパワーで観客の側からもそれに答えたいと思う。できれば、70年代の夏を舞台にした映画『Dazed & Confused』に出てくる女の子たちみたいに、ハイウエストのピチピチジーンズを気合で穿いて。
それをさせてくれるバンドが、このフリー・エナジー。今年のサマー・ソニックでの来日にそなえて今から予習しておかないと。(池内ちひろ)

Out Now | DFA Records / Astralwerks Records

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