The National

Posted on 2010.05.23 
Filed Under interview

Interview : Takazumi Hosaka
Photo : Chihiro Ikeuchi

およそ3年ぶり、通算5作目の最新作『High Violet』がビルボード初登場3位を記録し、もはや彼らの地元であるNYなどでは数千人規模のライブ会場もわずか数分でソールドアウトさせてしまう程の存在になったザ・ナショナル。

今回はそんなナショナルの激渋Vo.マットと、サウンド面の核を担う双子の片割れ、アーロンにインタビューしてみました!

―今回、初の来日になると思いますが、どこか観光などはしましたか?

アーロン:いや、まだどこも見れてないんだ。しいて言えば宿泊先の渋谷と……ここ。(っと窓の外を指さし)そこの桜とか綺麗だよね。笑
明日の午前中が空き時間になってるから、その時色々周ろうと思っているよ。

―なるほど。では、いきなりですが、新作についてお訊きしたいと思います。
アルバムリリースに先立って公開された「Bloodbuz Ohio」と「Terrible Love」はどちらも愛についての歌ですよね。今作において、「愛」は重要なテーマになっているのでしょうか?

 

マット:確かに「愛」について歌は多いかもしれない。でも、ただ単に愛と言っても様々な意味合いがあると思う。誰かと結び付きたいと思ったり、あるいは圧倒されるような愛だったり、色々さ。大なり小なりどの曲も愛が関わっているのかもしれないけど、その2曲がアルバムを代表しているわけでもないし、全ての曲にそれぞれ違ったストーリーがあるんだ。

―いつも作詞する時、どんなものからインスパイアされているのでしょうか?

マット:アーロンや他のメンバーから曲の断片のようなものがどんどん渡されるから、とにかくそのサウンドに合わせてドンドン書いていく。まだその段階では自分でも詩の意味合いはよくわからないんだけど、とにかく何パターンも書き溜めるんだ。で、実際バンドの演奏に合わせた時に、その膨大な量の歌詞からピンとくるのを選んでいく。っていうのが僕のやり方かな。最初は自分でもわからなかった詩の意味が、完成した後からわかってくる事の方が多いんだ。

―なるほど。では逆にサウンド面において、今作で意識した事はありますか?

アーロン:一番意識したのはまず、前作の『Boxer』と違ったものにしようってこと。今回のレコーディングは僕の家の裏庭のガレージに作ったスタジオで行ったんだけど、そこで思いっきりジャム・セッションをして、色々な実験もした。そしてそこで生まれた即興的なものや、デモの段階でできあがったものを大事にしたんだ。結果、前作よりもルーズでラフな感触になったと思う。例えば、1曲目の「Terrible Love」のギターの音色が良い例だね。音圧はあるんだけど、ザラザラと質感で……ちょっと風変わりなサウンドだろ? 要約するとあれこそが今回目指していたものかもね。

―前作『Boxer』のようなかなり練り込まれた、洗練されたものより、もっとワイルドな方向へいきたかった、と?

アーロン:そうだね。ただ、今作にもオーケストラを取り入れてるし、もちろんラフなだけじゃないアルバムだけど、前作よりは即興的で……ある意味ちょっと変(Weird)なレコードになってると思う。あとはスタジオで楽しくジャムっている僕らの雰囲気も反映されているかな。結構ハッピーな作品かもしれない。

―前作発表後から今作のリリースまで、約3年ほど空いたかと思うのですが、曲は3年前から書き溜めていたものなのでしょうか?

アーロン:実際に曲を書き始めたのは2年前くらいかな。で、マットが作詞を始めたり、色々本格的に動き出したのが1年半前くらい。でも、僕らってかなりスローペースで作品を仕上げるから、どうしてもこれくらいかかっちゃうんだよね。1曲ごとに何度もアレンジをやり直したりするし、歌詞も演奏も何度も変更するからね。
僕らのバンドは、ソングライターが1人じゃないから、みんなそれぞれ色々なアイディアを持ち込んでくるんだ。それらを上手くまとめて1つの楽曲に仕上げるから凄く大変なんだよ。いつも一曲完成する度に「やった!すごいラッキーだ!」って思うよ。笑

―なるほど。笑
えー、前作発表後からここ最近までは、マットとブライスが『Dark Was The Night』というコンピのキュレーターを務めたり、Mergeレコーズの20周年記念コンピにセイント・ヴィンセントとのコラボ楽曲を提供したり、また、ブライスの別バンド、クロッグスもアルバム『The Creatures in the Garden of Lady Walton』を発表したばかりと、ナショナル以外での活動が目立ちましたが、それらの課外活動が今作に反映されたポイントなどはありますか?

アーロン:今作にはスフィアン・スティーブンスニコ・マーリーを始め、色々なミュージシャンが参加してくれているんだけど、そういった面々はまさに君がいったような課外活動で培った人脈から参加に至ったんだ。僕ら5人だけだとどんどん世界が狭くなっていってしまうような気がするから、それぞれ別の活動をする事はとても有意義だと思っているんだよね。で、中でも僕と双子のブライスはかなり色々な事にチャレンジするのが好きなんだけど、特にブライスは「ちょっと休んだら」って言いたくなるくらいアクティブで、いつも何かしら動いているような人間だから色々なところへ飛び込んで行ってしまうんだ。だからそこで知り合った人たちや、聴いた音楽からの影響はもちろん僕らのサウンドにも自然に反映されていると思うよ。

―ではそのブライスとアーロンが運営しているBrasslandというレーベルがありますよね。そのレーベル運営も人脈作りに役立っていますか?

アーロン:あぁ、Brasslandは一向に育たないけど、ギリギリ生かしてるみたいな状態のレーベルなんだよ。笑

マット:ビンの中で薬浸けにしてある脳みそのようなものさ。笑

アーロン:他のレーベルでは扱ってくれない友人たちの作品だけを出しているんだ。笑

―笑

アーロン:でも、全部本当に素晴らしい作品なんだよ。
もともと01年にクロッグスとナショナルの1stアルバムを出すために作ったレーベルなんだけど、僕らの高校時代からの友人で、今はダーティ・プロジェクターズのマネージメントをやってるAlec Hanley Bemisの協力を得て立ち上げて以降、成長が全く止まってしまっているよ。笑
でも、今回ストリングスのアレンジで参加してくれたニコ・マーリーみたいなNY周辺のアーティストとは繋がるきっかけになったかもしれない。

―ニコ・マーリーはグリズリー・ベアの最新作にも参加していましたよね?
そのグリズリー・ベアを始め、1、2年ほど前から騒がれ始めたNYのブルックリン周辺の若手のバンド達とは繋がりがあったりしますか?

マット:確かに知り合いではあるんだけど、実際知り合いになったのはブルックリンの外なんだよね。ツアーとかフェスだったり。で、ブルックリンがどうしてそんなにミュージシャンの数が多いのかというと、もちろんミュージシャンだけでなく、作家や映画を作ってる人など、クリエイティブな人が沢山集まっているっていうのも関係しているとは思うけど、一番の理由はバーが多いからだと思うんだ。ざっと見渡しただけでも大小合わせて200以上はあると思う。そんな沢山のバーで毎晩誰かがプレイして、それを多くのお客さんが観てくれる。そういった環境のおかげで多くのバンドが見つけ出されるんだと思うんだよね。

―現在のNYシーンの盛り上がりの理由の一つに、米TV番組「Saturday Night Live」の収録スタジオがNYにあるっていうのも関係していると思うんですが、どうでしょう?

マット:うーん。「Saturday Night Live」はどちらかというとメインストリーム寄りのアーティストが出演する事が多いと思う。最近では徐々にインディ系のアーティストも出演するようになったみたいだけど、まだまだ新人バンドとかは出演しないよ。実際僕らも出演した事ないしね。笑

アーロン:いや、でも僕らはもうそんなに新人でもないよ?

マット:でも出た事ないじゃん。笑
で、どっちかというと、「Jimmy Fallon Show」の方が新人バンドとかが出る事が多いかな。
実際、あの番組を観てると結構良いバンドをチェックできたりするしね。

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High Violet

The National / High Violet

010/5/26 RELEASE! BGJ10082 ¥2,490(w/t)

1. Terrible Love
2. Sorrow
3. Anyone’s Ghost
4. Little Faith
5. Afraid Of Everyone
6. Bloodbuzz Ohio
7. Lomonworld
8. Runaway
9. Conversation
10. England
11. Vanderlyle Crybaby Geeks
12. (予定情報)ボーナストラック収録予定

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