Kyle Newman (Director of Fanboys)
Posted on 4月 28, 2010
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4/24より渋谷シアターTSUTAYAで公開中の『ファンボーイズ』の監督、カイル・ニューマンにインタビューを敢行しました!濃~いファンボーイズ(オタク青年)トークに花が咲いて、本誌に載せ切れなかったインタビューを全編ノーカットで掲載します。
Interview : Morihiro Oishi, Yuki Asakura
Photo : Chihiro Ikeuchi
(本誌を手に取りながら)いい雑誌だね!
―ありがとうございます。監督もインディーロックのファン?
そうだね、特にブリティッシュ・ロックが好きかな。アメリカのロックはあんまり……(本誌を指差し)ヴァンパイア・ウェークエンド!フリート・フォクシーズも気に入っているよ。グリズリー・ベアや、新しいバンドだとミドル・イースト、それとマムフォード・アンド・サンズやザ・ドラムスとか。
―じゃあブリティッシュ・ロックのファンとして、オアシスの解散騒動はどう思います?
確かにそういう話になってるよね・・・でもリアムとノエルがそれぞれの音楽をやることで、楽しみも増えるからいいんじゃないかな。
―さて本題に入りますが、東京はどんな感じです?
もう、本当に美しくて大きな街だよ! それに(インタビュー場所の窓を指差して)今日は富士山も見えるし。素晴らしいよ。
―今回は、まず沖縄国際映画祭で『ファンボーイズ』(以下、FB)の日本初上映が実現しましたが、どうでしたか?
何かシュールな感じだった。地球を半周して日本へやって来て、映画祭で上映され、国籍や文化を超えて受け入れられたことは嬉しかった。それに映画自体を作り上げた場所から、遥か遠い所で楽しんでもらえることも。日本で公開されることは光栄な事だし、キャラクター同士の会話や繋がりの部分は、どんな文化にも通じると思う。コメディ映画としてのドタバタがあることで、言葉の壁を越えて通じるものがあると思うし。『スター・ウォーズ』(以下、SW)という世界共通のポップカルチャーも含んでいることも、日本のお客さんに楽しんでもらえるはず。
―本作は2006年の2月に撮影が始まり、日本公開(2010年4月)まで4年もかかってたどり着きましたが、ここまでかかると思っていましたか?
アメリカでは去年(2009年)の2月にようやく公開できたけど、撮影からそれまでの3年間は本当に長かった。でもそれまで何度も試写をやって、金銭的にもベストな公開のタイミングを待ち続けた。そういう意味では楽しくも長い旅路だったけれど、それが全て上手くいったと思うし「なるべくしてこうなったんだ」と今は思っているよ。
―それに対して世界中のSWファンが公開運動(“Stop Darth Weinstein”キャンペーンという、映画の再編集等に反対する運動)が始まり、それがネットを通じて名が広まりましたが、その時はどうでしたか?
最初に知ったときは・・・正直心苦しかった。あくまで『FB』は小さいインディ映画だったし、『SW』という大きなカルチャーについての映画だったからこそ、そういう形で注目されたから。もちろん映画の製作現場には自然と起きるドラマがつきもの。沢山の人達と大金が動いているのも事実。そんな中でネットの運動を知った時は、それまで無かったはずのプレッシャーや、作品への期待からくる重圧が急にのしかかって来た。でも幸いな事に、ファンがこの映画を求める強い声がなかったら正しい形で世に出ることはなかった。その点では本当に嬉しかった。確かに監督としてはネットで起きていることが予想以上に大きくなって、何も言えない辛い気持ちもあったけれど、ファンが映画を取り戻してくれた事には心から感謝しているよ。
―今では『SW』のファンボーイズ達が、『FB』の“ファンボーイズ”にもなっていますね。
本当に素晴らしいことだよ!僕と同じように98年当時のポップカルチャーや『エピソード1』に対する期待や想い、そして映画や音楽を体験した人々には通じる映画にしたかったから。この映画に対して情熱を傾けてくれた事も、幸せとしか言いようがない。長い旅路だったけれど、本当に報われた気がするよ。
―僕も『エピソード1』が公開された時は、大騒ぎしてました。
(笑顔で)分かるよ。
―『FB』の構想は『エピソード1』の公開前からあったものなのですが?それとも公開後?
脚本を書いたアーニー・クラインが、97年頃に書き始めて98年に出来上がったんだ。ちょうどその頃、彼の母親がガンになってしまい、彼自身「もし生きて『エピソード1』を見れなかったらどうしよう?」って思ったのさ。でも作品は製作されず、脚本はしばらく業界に出回っていた。するとリアルタイムのはずだった内容が、98年という時代を振り返るものに変わってしまって。これが逆に98年当時の文化をジョークとして取り込んだり、『エピソード1』を含めた『SW』の新三部作の始まりに対する熱狂を、客観的に振り返る作品としても作ることが出来たよ。色々思い出せて楽しかったし。
―その『FB』の脚本を読んだ時の第一印象は?
最初に『FB』を知ったのはニューヨーク大学の学生だった98年頃。ハリー・ノウルズ(映画ジャーナリスト)が運営しているサイト、”Ain’t It Cool News”で情報を知ったのがきっかけだった。その時は「この映画見てみたい!」と心から思ったのを覚えてる。何せ誰も作ったことがない内容だったからね。それから6年後に脚本を読む機会に恵まれて、同時代を体験した一人としてすごく興奮したよ。とにかく98年という時代をノスタルジーとしてもよく捉えた内容で、『エピソード1』の公開前は『SW』は話題の中心。オリジナルの三部作を見て育った人々は誰もがファンで、とにかく新たな『SW』を待ち焦がれてた。1年後の99年には公開後の賛否両論が巻き起こっていたけれど、それが起きる前の純粋な気持ちや『エピソード1』に対して集結したユニークな時代の面白さを、青春映画としても描けたのも良かったよ。
―ちなみに『SW』の旧三部作を何回くらい見てます?
(目の前に置かれた『SW』のDVDを指差して)……何百回。

―(一同、爆笑)そんなに?
子供の頃、学校をサボって『SW』シリーズや『バック・トゥ・ザ・フューチャー』とか、繰り返し見たよ。兄や僕が病気だったときや、母に仮病を使って休んだ時とか「映画見てもいいわよ」って言われてね。『エイリアン』や『グーニーズ』『グレムリン』も何回見たか分からない。でも『SW』は、それぞれ100回は見たと思うよ。
―じゃあダース・ベイダーが父親だと分かった時はビックリしました?
あれはパワフルな瞬間だった。子供ながらに最初は信じたくなかったし、ルークと同じ気持ちだったよ。でもそのダーク展開があったからこそ、容易に進まない現実の重さを感じさせてくれるし、神話やグリム童話も決してハッピーな生易しい話ではなく、子供にとっては重苦しい展開があるからね。でも『SW』にはダークな側面がありつつも、明るいドロイドやウーキーがいるからこそ、目の前に広がるアドベンチャーが待っていることを教えてくれる、そのバランスがあるんだよ。
―まさか自分が大人になって『SW』のキャストを集めて、『SW』についての映画を撮ると思いました?
まさに夢が叶った気分だよ!ダメもとだったけれど、こんなに出演してもらえるなんて思わなかったし、『スター・トレック』(以下、『ST』)のウィリアム・シャトナーまで出てくれるとは思わなかった。それにジョージ・ルーカスにだって会えた。
母も「あなた『SW』が大好きでずっと育ってきたのに、変な感じじゃない?」って言ってくれた。僕の人生に大きな影響を与えてくれただけでなく、まさか『SW』についての映画を撮るなんて信じられなかった。こんな素晴らしい経験、もう二度と出来ないよ。
―しかも『SW』のセリフを、そのままキャストに言わせてみたり。
すごく妙な感じだった。例えばキャリー・フィッシャー(オリジナルのレイア姫役/本作では病院の先生役)に、『SW』のセリフを言ってもらう時だった。「愛してる」「分かってるわ」というやり取りを『ジェダイの帰還』のサウンドから、直接使うアイデアを思いついてね。ルーカスフィルムでサウンドミックスをしている際、一応キャリーに電話をして「オリジナルの音声を使うのはどうかな?」って聞いてみた。すると彼女は「ジョージ(・ルーカス)がOKなら、私は構わないわ」と言ってくれて、それに対しジョージも「OK」と賛成してくれた。すると40分後にはテープが届いて、速攻で作業したってわけさ。スカイウォーカー・サウンド(ルーカスフィルムの音響部門)でミックスしていたからこそ、可能な事だったんだ。
―それでは本作のキャラクター達についてですが、それぞれ『SW』のキャラクターやイメージを思わせるように、最初から作り上げたのですか?
それぞれのキャラクターに『SW』の主人公達を、最初から割り当てたわけではないんだけど、そこには自ずと共通項が出来上がってた。
主人公のエリック=ルーク・スカイウォーカーで、自分の運命に背を向けて、本当は漫画家になりたいのに父親の陰に生きながら、選択を迫られる。ルークも運命を見出す前は農夫になろうとしていたし。ハッチはミレニアム・ファルコンを操縦するハン・ソロ。でも見た目はモジャモジャのチューバッカで、最もコミカルな存在。ストーリーの鍵となるライナスは、ガンで余命わずかだけど、オビ=ワンのように精神的な繋がりの中心。ヒロインのゾーイはファンキーなレイア姫。
こうやって考えれば『SW』のキャラクターを割り当てた感じだけど、決してそういうわけではなく、自然に出来上がったんだよ。
―特にウィンドウズは、最近のインディー映画にも登場するような、ギーク(=オタク)っぽい要素が強いですが、どうやって作り上げたんです?
ウィンドウズは脚本を書いたアーニーのアイデアだったんだ。演じてくれたジェイ・バルシェルがピッタリはまったけれど、ジェイ自身、優しくて本当に憎めない。頭が良くて機転も利くし、ただのオタクっぽいわけでもなかった。ウィンドウズは自分でコミックショップを経営して、コミックに対する情熱を失わないキャラクターとして作り上げたけど、そのままじゃ自分の世界から出ない閉鎖的な“オタク”というだけで終わってしまう。でもジェイはその殻に閉じこもらない、外の世界をしっかり見つめて、成長を垣間見せてくれるように演じてくれた。本当にいい俳優だよ。
―その出演者の中で、三役も演じているセス・ローゲンは、どういう経緯で三役も?よほど『FB』を気に入っていたんですか?
たぶん脚本を気に入ってくれたからだと思う。セスはジェイ(・バルシェル)の友達でもあって、三役演じる話になった時「(セスの声マネをしながら)俺は三人も演じればいいのかい?」となったんだ。彼も複数のキャラクターを演じたかったらしく、ピーター・セラーズ(『ピンク・パンサー』シリーズの主演)ばりに、特殊メイクで鼻を高くしたり、入れ歯を入れたりして役になりきってくれた。本当に愉快で面白い俳優で、アドリブも得意だし、彼なら出来ると思ったから演じてもらったんだ。セス自身も『SW』や『ST』『バットマン』の大ファンで、コミックやフィギュアのコレクターでもある本物のファンボーイだしね。
―劇中にはセス(・ローゲン)が演じる『ST』の熱狂的なファン(=トレッキー)も出てきますが、実は監督もトレッキー?
勿論『ST』も大好きだよ。でも『SW』の方が深みもあって共感できたから、ずっと好きだった。「カーーーン!」(『ST2/カーンの逆襲』のパロディ)と叫ぶシーンは、撮影できて嬉しかったよ。『カーンの逆襲』はシリーズの中でも最高の作品だと思うし、セスもトレッキーだったから楽しんで演じれくれたよ。
―やっぱり『カーンの逆襲』はシリーズ中ベストですよね。
(笑いながら)うん、心からそう思うよ。
―それでは最後の質問ですが、次回作は『EMO BOY』という企画と『アメリカン・グラフィティ』にも出演していたDJ/ウルフマン・ジャックの伝記、ということですが、監督の今後はどうなりそうですか?
両方とも実現にかなり近くなってるところだよ。『EMO BOY』はひょっとするとTVシリーズとして製作する可能性があって、アンチ『スパイダーマン』みたいな話。役に立たない超能力を持ってて、悩みつつもトラブルに巻き込まれてしまう。
ウルフマン・ジャックの伝記は、本当に魅力的な話になると思う。たった2週間の間に起きる出来事に焦点を置いて、よくある伝記物にはならないはず。まるで『アメリカン・グラフィティ』と『デスペラード』の銃撃戦をミックスした感じ。ちょっと複雑だけど僕も心待ちにしてる。
もう一つ、エロール・フリン(1930年代のアクションスター)の伝記物も考えてる。これも今年中に話がまとまればいいんだけどね。
あとは僕がプロデューサーにまわって、奥さん(『FB』を通じて結婚した、女優のジェイミー・キング)が監督することになる作品も計画が進んでいるところだよ。
―これからも楽しみにしています!フォースと共にあらんことを!
(ニコニコしながら)今日はありがとう!
―それと……(『ST』の手のポーズ/バルカン式挨拶で)長寿と繁栄を!
(大爆笑)
『SW』だけでなく、ニューマン監督の映画に対する愛情がとことん詰まったインタビューでした。
監督の直筆サイン色紙をプレゼントします。
Presentのページでアンケートに答えて応募してください。
『ファンボーイズ』
4/24(土)~5/7(金)渋谷シアターTSUTAYAにてGWレイトショー!
配給:カルチュア・パブリッシャーズ
5/12(水)“ワケあって、オススメ”TSUTAYAロードショーコーナーにてTSUTAYA独占レンタル開始!
発売元:カルチュア・パブリッシャーズ
セル販売元:ケンメディア
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