Hidden / These New Puritans

Posted on January 23, 2010 
Filed Under cd review

Hidden / These New Puritans再生ボタンを押すと同時に流れてくるのは謎のファンファーレ。まるで、壮大なSF映画のオープニングでも観ているかのようだ。そのまま続く2曲目。重く鳴り響くドラムで幕を開け、呪術のように囁くボーカル、トライバルなビートが徐々に襲い掛かってくる・・・・・・。

なにこれ? これ、誰? って思ってしまうのも無理はない。むしろ最初マジでプレイヤーに入れたCDを間違えたかと思った。でも、これと同種、同程度の驚きを昨年にも僕は感じたことがある。そう、ホラーズだ。彼らの2ndでの大変貌振りと、このTNPSが今作で遂げた激変ぶりは非常に良く似ている。

ギクシャクとしたリズムと痙攣ギター、そして駄目押しはかのポスト・パンク界隈のレジェンド、ザ・フォールの曲名から取ったバンド名。これだけの要素が詰まったこのバンドが、07~08年頃に登場したのだから、そりゃあポスト・パンク・リヴァイヴァルに括られても無理はなかったと思う。かく言う僕も、彼らのことはそういう目線でしか観れていなかった。それに加えて、あのエディ・スリマンのお気に入りってのも今ひとつ彼らの事が好きになれなかった理由の一つだと思う。あの人はあまり音楽的な耳を持っていない人物だと個人的には思っているので。

しかし、この2ndは凄い。とてつもなく凄い。総勢13名からなる木管・金管アンサンブルや、効果的なストリングス、さらに和太鼓やナイフを研ぐ音(ビョークか!)までをも貪欲に取り入れ、誰にも真似できない新境地を確立。しかも、これは凡百のロック・バンドがある程度キャリアを積むとやりたがるような、暑っ苦しいバラードへ導入するアホくさいストリングスとは全くの別次元。全くの別物だ。前衛的な現代音楽や、クラッシクへのアプローチもみせつつ、ビートはより実験性を取り入れるなど、随所にこだわりが隠されている。

よく、メーカーの付けたキャッチコピーやレコード屋さんの店頭POPなどで、「全曲シングルカットできるほどのクオリティ!」みたいな感じの売り文句を見かけるが、このアルバムは逆だ。「全曲シングルカット不可能」なのだ。しかし、断言する。これは紛れもなく大名盤である。 (保坂隆純)

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