Patrick Wolf

Posted on 12月 24, 2009 
Filed Under interview


Interview:Takazumi Hosaka
Photo:Ruby (from Just Like Honey)



大出世作でもある前作『Magic Position』から約2年。メジャー・レーベルと手を切り、自主レーベルを立ち上げ、アルバム製作資金をWebで募ったファンからの投資で賄うという非常に現代らしい手法で作り上げた最新作『Bachelor』を引っ提げブリティッシュ・アンセムズにて待望の来日公演を果たしたパトリック・ウルフ!
前作のファンシーでポップなイメージから一転、エロティックで耽美的なイメージに一新したパトリック・ウルフ王子の素顔を突撃インタビューしてきました!
ちなみに、王子は取材が変わる度に毎回衣装を変えていました。さすがです。

-えっと、今回の来日は確か3度目になると思いますが、日本に来たらいつも行くお気に入りのスポットなどがあったら教えてください。

それよりも君、レコーダーのスイッチが入ってないけど大丈夫なの?

-え? あー! すいません、電源入れ忘れていました…。教えてくれてありがとうございます…。笑

ハハハ。ノー・センキューだよ。えっと、質問に答えるね。正直、毎回あまり出歩く時間がないので、ほとんど観光みたいな事はした事がないんだ。だから、いつも行く場所といえば……空港とホテル。笑
あ、でも、毎回行くし、一番大好きな場所はステージの上かな。笑

-なるほどー。上手いですね。笑
じゃあ、まず衣装の事についてお訊きしたいのですが、ステージ衣装のほとんどを自ら縫って作っていると聞きました。昨日のブリティッシュ・アンセムズで着ていたユニオン・ジャックの服も自分で作ったんですか?

うん、自分で作ることもあるけど、今回のアルバムのツアーやプロモーションで着ている衣装はエイダーズ・アンダーソンっていう女性のデザイナーが全て手掛けているんだ。
どっちみち僕のこの身長(190cmオーバー)では既製品で合うものはなかなかなくてね、だから自分で作ったり、人に頼んでオーダーメイドするしかないんだよね。
ちなみに、その際の重要なポイントは、見かけはもちろんの事ながら、ステージで派手に動き回るために動きやすくなければならない。そして決めポーズの時にビリっといかないように、破れ難く頑丈な作りになるようにお願いしているんだ。

―ステージ衣装以外の、普段着とかも自分で作ったりはするんですか?

うん。若い頃は作ったりしてたね。何せお金がなかったからね。笑
貧乏だけど、ポップ・スターみたいな格好がしたい、っていう場合は作るしかないからね。最近でもたまに作ったりはするけど、どっちかというと音楽製作の方が忙しくて、なかなかそういう時間がないんだよねー。

-ところで、昔のあなたは髪の色をコロコロと頻繁に変えていたように思いますが、ここ最近は割りと金髪で統一していますよね?
何か心境の変化でもあったのでしょうか?

そうだね、昔から1つのキャラクターで収まっているのが嫌いなタイプだから、その時々の気分で良く髪の色を変えてたんだけど、最近はなんとなく変えてないね。特に心境の変化があったという訳でもないんだけどね。

-なるほど。では、音楽の話に入らせてもらいますが。早くも『The Conqueror(征服者)』というタイトルの次回作のリリースを予定しているそうですが、そのアルバムについて少し教えて頂けますか?

実は6月にリリースした今作『The Bachelor』の完成と同時にほぼ完成していたんだ。でも、今作を発売し、ツアーやらプロモーションをしている間に僕が経験した様々な事柄や色んな感情を、そのアルバムにも注入したいなと思って、手直しをする事になったんだ。だから完成にはもう何ヶ月か必要になってくると思うよ。

-わかりました。完成を楽しみに待っています。
前作『The Magic Position』は初のメジャー・レーベルからのリリースでしたが、今作はリリースする前からそこから離れていますよね。その理由などがあれば教えて頂けますか?

まず、『Magic Position』はサウンド的にもメジャーで全く問題なかったし、製作時に僕もなんら拘束されたりはしなかったんだ。でも、あの作品発表後に僕の音楽的な方向性が変わってきてしまってね、それに対してメジャー・レーベルがOKを出してくれなかったんだよ。ビジネスマンの言う事に対して自分のやりたい事を変えるってのはおかしな話しでしょ? だって音楽っていうのは僕の心から湧いてくるものだしさ。
大体バンドとかは、上のお偉いさんからダメ出しを喰らったら「言う事きかなくちゃ」って思うかも知れないけど、僕はそんなの間違ってるって思うんだ。
そもそも、今となってはレーベルがどこであれもはや僕には関係ないって思うんだよね。ただ聴いてくれるファンがいれば良いんだってね。だから今回Bloody Chamber Musicという自主レーベルを立ち上げて全部自分でやってみたんだ。もちろん、プロモから何から全部自分一人でやるからストレスを感じる事だってあるけど、その分やりがいだってあるしね。
でも、一番重要なのは、「メジャーだろうがインディだろうが音楽自体には全く影響していない」っていう事なんだ。僕はただ自分のやりたい音楽をつくり続けてきただけだし、これからもそれは変わらないよ。

-なるほど。では、ライブの話になるのですが、今回のツアーでは毎回昨日のように、最初の1部がしっとりと聴かせる感じで、衣装チェンジを挟んだ2部目がアップテンポなダンス・チューンで盛り上げるっといった感じの2部構成になっているのでしょうか?

うーん、その時々によって様々だね。2時間くらいの長尺のショウをやる時もあるしね。ライブだけでなくアルバムにしても当てはまることなんだけど、自分の今持っているモノを全てそこで披露したいって思うが故に、無理やり全部詰め込んでしまう傾向があるんだよね。
例えば、ロンドンのパラディアムっていう大きな会場でやる時とかは、最初はもっと照明も落として曲調もダークな感じで始めるんだ。それでショウが進むに連れて照明も徐々に明るくなっていき、衣装や曲調も流れに合わせて変化させていこうと意識してるよ。
やっぱりショウは最初から最後までで1つの経験だと思うし、最終的にお客さんには何かしらのインスピレーションを受けたり、ハッピーな気持ちになって帰っていってもらいたいからね。

―昨日のライブで確か2曲目くらいに演っていた『Bluebells』の後半からいつの間にかビョークの『Hyperballad』のカバーになっていて驚いたのですけど、確かあなたは以前にもビョークの『Army Of Me Remixes And Covers』というリミックス/カバー集に参加していましたよね。
やはり彼女の存在はあなたの音楽性やパフォーマンスにとって非常に大きなものなのでしょうか?

もちろん! 特に若い頃、ブリット・ポップ全盛の90年代とかって本当にリアルタイムで自分が共感できたアーティストが少なかったんだ。ジャーヴィス・コッカー(Pulp)とPJ・ハーヴェイ、あとビョーク、この3人ぐらいしか魅力を感じれなかったんだよ。だから後はブロンディみたいな昔のパンクか、50’s~60’sのロック・バンドやガールズ・グループしか聴いていないような時代もあったぐらいなんだ。
で、その中でもやっぱりビョークの存在は僕の中では大きかったんだよね。確か『Army Of Me』を初めて聴いた時、あの曲のベースラインが当時本当に斬新に思えて、それから彼女の事をどんどん掘り下げていったんだ。1人のアーティストのキャリアの中であれだけ幅広いジャンルを網羅できている人っていうのは他にはいないと思うしね。
あとは歌詞の面で考えても『Hyperballad』は『Bluebells』に凄く合うな、と思ったんだよね。両方とも「別れ」がテーマだしね。とにかく素晴らしい歌詞だから、あの時は使わせてもらったんだよ。

-凄い個人的な話になってしまって申し訳ないんですけど、『Hyperballad』は昔飼っていた猫が死んでしまった時に、ずっと聴いていた曲で、とても思い入れがあるんですよ……。

あぁ…「ガールフレンドが死んだ時…」って言うのかと思って今ちょっとホッとしてしまったよ。笑
でも、辛い事を思い出させてしまったのならごめんね。

-いえいえ、大丈夫です。笑

そういえば、小さい頃僕も飼ってた猫が死んじゃった事があったんだけど、その時うちのお母さんは僕を悲しませない為に「小鳥か何かを追いかけて、そのまま猫のワンダーランドに迷い込んで帰ってこれなくなっちゃったんだよ」って言ってくれたんだ。

-素敵なお話しですね。笑

でも、実際僕も辛い時とかにビョークの音楽を聴く事が多いかもしれないなー。何ていうか、こう“サバイバーの音楽”っていう感じがするんだよね。彼女自身いつも色んなものと闘い続けてきたアーティストだからか、何か強いエネルギーを感じるしね。

-ええ、凄くよくわかります。
ところで、ビョークからは音楽面だけでなく、おそらくその奇抜な衣装などの面でもあなたは影響を受けていると思うのですが、今年注目を浴びたレディ・ガガラ・ルーなども負けないくらい奇抜な衣装をしていますよね、彼女らの事はどう思いますか?

もちろんレディ・ガガの衣装も音楽も好きだけど、彼女のやり方とビョークやケイト・ブッシュみたいな人の魅せ方っていうのは全く違うと思うんだよね。ガガみたいな人は曲の中に実際のブランド名とかを出したりして、パッケージ化された既製品を掲示しているような気がする。
それに比べてビョークやケイト・ブッシュは、もちろん優秀なデザイナーと組んではいるんだろうけど、ゼロから自分を自分でアイコンに作り上げて、1つのアート作品として完成させているって感じがするんだよね。



※オマケ 本邦初公開(?) パトちゃんのメイク道具!

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