Delphic.
Posted on 2009.12.17
Filed Under interview
Interview: Takazumi Hosaka
Photo: Mami Hayashi
来年最も活躍を期待されている英アクトの一つでもあり、つい先月にはアルバムリリース前にして初の単独公演を成功させたデルフィック。
サマソニでもインタビューさせてもらったリチャード(Vo、Ba)、マット(Gt)、ジェームス(Syn)から成るこの3人組。前回は時間があまりなかったのですが、今回はじっくりとたっぷり語ってもらいました。
-えーと、まず、前回のインタビューで、今年のサマソニでの来日ではほとんど出歩く時間がなかったと言っていましたが、今回の来日ではどこか出歩けましたか?
マット:今回は少し出歩く時間があったから、東急ハンズとかに行ったよ。でも、いまだに時差ボケが酷くてね。今日も朝4時に目が覚めて、眠れなかったから早朝の街を少し彷徨ってみたよ。笑
-前回の来日時のビデオをマイスペにUPしていましたよね? 今回も撮ってるんですか?
マット:うん。今回もたくさんビデオを撮っているから、また後でUPする予定だよ。
日本のビデオはこれで2本目になるけど、いまだに1本も撮ってない国もたくさんあるんだから、これはスゴイ事だよね。実は僕らの母国、イギリスのビデオもまだ撮ってないんだ。何か母国を裏切ってしまったような気分だよ。笑
-あのビデオは音と映像が絶妙にマッチしていて、非常に美しいと感じました。編集とかも全て自分たちでやっているんですか?
マット:もちろん! 映像も音も全て自分たちで編集しているから、あれも立派な“デルフィック作品”のうちの一つだよ。
-なるほど。では、そろそろアルバムの話しに入らせてもらいますが、実際完成してみての感想はどうでしょうか? とことん満足のいく結果になったでしょうか?
マット:まぁ、もう作っちゃったから、今さら嘆いてもどうしようもないけどね。笑
リチャード:ハハハ。確かに。笑
でも、真面目な話、以前にオービタルのハートノル兄弟とも話していたんだけど、自分たちのつくる音楽作品が“完成する”というのはたぶん一生ありえない事なんだと思うんだ。『ただある時点でのベストを切り取って、手放す』、それがアルバム製作という手段なんだってね。
とはいえ、もちろん今回のアルバムを僕らは誇りに思っているし、これから多くの人々に聴いてもらえるのを楽しみにしているよ。
-なるほど。奥が深いですね。
では、今回のアルバム制作時における曲つくりのプロセスなどを教えてもらっても良いですか?
リチャード:うーん…。僕らの場合は一つの歌詞から始まることもあれば、メロディからだったり、単純なシンセのリフからだったり、決まった方法というものはないんだけど、ただ全ての曲に対して一貫しているのは、まず最初に何か一つの核ができて、それに対して後からどんどん肉付けしていくって事かな。
マット:そうだね。あまりルールや決まりごとは作らないことにしているんだ。そういった制限が曲をダメにしてしまうって事もあると思うし。
ただ、今回はレイク・ディストリクトというかなり人里離れたコテージに3人で篭って製作したんだけど、そういった環境は多少なりとも曲に影響しているかもしれないな。
-なるほど。ところで、デルフィックのやっている音楽というのは、今流行りのエレクトロではなく、どちらかというと、テクノからの影響の方が強いと思うのですが、そこにはロックもヒップホップもこぞってエレクトロを取り入れようとする昨今のシーンに対しての反抗心みたいなものも含まれているのでしょうか?
リチャード:うん。そういったメインストリームに対する反抗心っていうのは、結成当初からあったと思う。それにロックとエレクトロっていう組み合わせはもうありきたり過ぎると思うんだ。僕らは常に新しい、誰も聴いた事のないようなサウンドを作りたいと思っているからね。あと、エレクトロのわかり易すぎる雑で汚いサウンドよりも、テクノのもつ繊細なトーンとかの方が自分たちには合っているような気がするっていうのもあるな。
マット:最近のロック、ポップスは明らかにヨーロッパのダンス・ミュージックを意識しているよね。最近でいえばYYYsやブラック・アイド・ピーズなんかもエレクトロへのアプローチをみせよね。だからこそ、あえて僕らは違う事をしたいと思ってる。
-では、今作のコンセプトをひとつ挙げるとしたら“誰も聴いた事のないような新しいサウンドを作る”っていう事になるんですかね?
マット:うーん……アルバムのコンセプトっていうと、ちょっとそれは違う気がするな…。
ちょっと説明しづらいけど、今回のアルバムのコンセプトをあえて言葉にするとしたら、『Euphoria(多幸感)+Optimistic(楽観性)÷Melancholy(憂い)』ってとこかな。
-なるほど。なんとなくわかるような気がします。
えーと、今度はライブの話になるのですが、サマソニでのあなた達のライブを観た時に感じたのは、音源で受けた印象よりも大分テクノ色が薄くなり、その代わりにロックのダイナミズムみたいなものが強く前面に出てたという点でした。あなた達が特に強く影響を受けたロック・バンドやアーティストを教えてもらっても良いですか?
マット:うーん…沢山ありすぎてどれを挙げればいいか…。笑
僕の場合で言えば、やっぱりギター・サウンドはMogwaiやGodspeed(You ! Black Emperor)などのポスト・ロックやMy Bloody Valentineとかから影響を受けてるかな。
でも、ドラム・サウンドに関して言えば、まぁ(サポート・メンバーの)ダンっていうドラマーのスタイルもあるんだけど、それこそPropellerheadsやChemical Brothersみたいなビートを取り入れたりしているつもりだよ。
あと、基本的にレコーディングで綿密に練ってつくりあげた繊細なサウンドをライブで完璧に表現するっていうのは無理だと思うんだ。だからこそ、逆にライブでは生演奏ならではの太いグルーヴだったり、荒々しいビートで表現した方が面白いと思うし、そうする事によってアルバムで聴けるのとはまた違った新たな一面が見えてくるっていう事もあると思うしね。
-そうですね。シングル曲も音源とはかなり違った聴こえ方がしてましたしね。
マット:本当に? そう言ってもらえるとすごく嬉しいよ。笑
-ところで、あなた達のデビュー・アルバムである『Acolyte』のアートワークを初めて見たとき、耽美的というか、西洋中世風なところが若干4ADっぽいなーと思ったのですが、ずばり意識とかはしてたりしますか?
マット:4AD? あ、なるほどー。そういう事を言われたのは初めてだな。うん。確かに(4AD所属の)Pixiesなんかはサウンドもアートワークも本当に大好きだよ。でも、特に意識してたという事はないかな。僕らの場合、サウンドと同じくアートワーク、しいては活動全体に言えることなんだけど、過去のものから影響を受ける事はあっても、それをそのまんまアウトプットする事は絶対にしたくないんだ。やはり常に新しい、斬新なものを表現し続けていきたいと思ってるからね。
-ふーん。なるほど。失礼しました。
ところで、話しは変わりますが、ちょっと前に英新聞のガーディアン誌に元ニュー・オーダーのピーター・フックとデルフィックのメンバーが夜遊びしていたという記事が載っていたのですが、この真相を教えてもらっても良いですか?笑
リチャード:あぁ、彼は本当に“ミスター・マンチェスター”って呼ばれるくらい、マンチェスターにいればしょっちゅう出くわす存在なんだ。笑
凄く気さくで、いい人だからよく一緒に話しをしたりするんだけど、そういうところを目撃されたんじゃないかな?
そういえば、ちょっと前にパリで(同じく元ニュー・オーダーの)バーナード・サムナーにも会ったんだよ。でも、あまり深く話しをするのはやめとこうかなって思ったよ…笑
-笑
マット:でも、面白いなーと思うのは、ピーター・フックはイギリス国内で伝説的な存在であるはずなのに、いざ話してみると本当に普通の良い人で、スターなんだけどスターのように振舞わないんだよね。
-彼らしいといえば彼らしいですよね。
では、そのピーター・フックのいたニュー・オーダーやその前身のジョイ・ディヴィジョン、他にもストーン・ローゼズやハッピー・マンデーズなど、あなた達のホーム・グラウンドであるマンチェスターは、数多くのレジェンド達を輩出してきましたが、そういった、いわば“同郷の先輩達”の事はどう思っていますか?
マット:うん。確かにマンチェスターが生み出したそれらの偉大なバンド達の事は凄く尊敬しているし、実際マンチェスターだけでなく、イギリスの音楽史にも非常に貢献している重要な存在だとも思う。けど、もういい加減過去にばかり目を向けていてはダメなんだと思うんだ。やっぱり良くも悪くもマンチェスターという街は過去に近すぎる点があって、ずっと過去の良き時代ばかり見続けてきている。せっかく素晴らしい未来が向かってきているかもしれないのに、後ろばかり見ていたらそれを見過ごしてしまうだろ?
だからこそ、今はマンチェスターにもっと前を見据えて欲しいと思っているし、自分たちがそういった事のキッカケになれれば、と思っているよ。
-では、最後の質問ですが。今のイギリスは、ひとつの大きなシーンがない代わりにいくつかの小さなシーンが乱立している状態だと思うのですが、その中であなた達が共感できるシーンであったり、またはアーティストやバンドはいますか?
3人全員:ノー!
リチャード:ロンドンなら確かにいくつもそういったシーンがあるんだろうけど、僕らはマンチェスター在住だから本当によくわからないんだ。それにマンチェスターの中でも、基本的に家に引き篭もってシンセサイザーを一日中いじくってるような生活だから、マンチェスターにシーンがあるかどうかも正直わからないんだよ。僕たちは基本的にあまり音楽関係の友達がいないし。笑
ジェイムス:そうそう。だから僕は以前ガールズ・アラウドと仲良くなろうと思って、メンバーの一人の家にずっと張り込んでたんだ。そしたら警察に通報されちゃってさんざんな目に遭ったよ。笑
一同:爆笑
ジェイムス:いやいや、笑い事じゃないんだよ本当に。笑
そういえば、ガールズ・アラウドは日本では人気あるのかな?
-うーん。イギリスに比べると結構知名度低い方だと思いますけど…。
ジェイムス:何てこった! 僕はこんなにも愛しているのに!
一同:爆笑
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