Primary Colours / The Horrors
Posted on 5月 19, 2009
Filed Under cd review
2007年、ゴシックな衣装に身を包み、ほとんどの楽曲が2分半ほどで終わってしまうような正統派ガレージ・パンクを鳴らしていた彼ら。なかなかに佳曲揃いな1stアルバムではあったものの、正直な話、このまま一発屋で終わってしまうんじゃないかと疑ってかかっていた人は少なく無かった。実を言うと僕もそんな愚かな、先見の明がなかったうちの一人だ。
しかし、そんな大多数の愚かな人々の予想を粉々に打ち砕く事となった、リード・トラック「Sea Within A Sea」の電撃的先行配信。この時点で既にこいつらは一発屋なんかじゃない!これはきっと凄く良い形での進化を遂げているんじゃないだろうか、といった予測をするには充分すぎるほどだったが、それから約2ヵ月後に届けられた本作はその期待値すらをも軽々と飛び越え、その数段上の遥か高みへと昇りつめた、決定的な大名盤である。
今作からクレジットがトム(Ba/Synths)、スパイダー(Org/Ba)となっているため、各曲の分担等はよくわからないが、彼らの繰り出すシンセとオルガン、そしてエフェクター・オタクであるジョシュアのギターをサウンドの核に、その裏でジョイ・ディヴィジョン的直線ビートをタイトに刻むリズム隊と、前作から比べて非常に表現力豊かになったファリスのヴォーカルも成長ぶりを窺がうには充分すぎる出来栄え。
幻想的かつ退廃的なサイケデリアとマイブラ譲りのシューゲイズなフィードバック・ノイズが七色に輝き、そしてさらにクラウト・ロックの無機質さ、ニュー・ウェーブ的なギクシャクリズムを誰にも真似出来ない彼ら独自の手法でごちゃ混ぜにした結果、今まで誰も聴いた事のない全く新しいロックンロールの形へと進化を遂げる事に成功した。
ちなみに、国内盤のボートラを除けばアルバム本編の最後に位置している先述の「Sea Within A Sea」は、単品でももちろん素晴らしい出来栄えなのだが、アルバム通して聴くとなお素晴らしい!それはまるで前衛的な映画のエンディングテーマのようでもあり、これから始まるホラーズの新たな物語に対するオープニングテーマのようにも聴こえる。今年、サマソニで2年ぶりとなる来日を果す彼ら。そこでは一体どんなパフォーマンスを披露してくれるのか、今から楽しみで仕方がない。(保坂隆純)
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