Of Montreal@ 3/12 Shibuya Duo Music Exchange

Posted on 3月 25, 2009 
Filed Under live review


TEXT:Takazumi Hosaka
“やっと時代が彼らに追いついた”
様々な海外メディアで高い評価を叩き出した前作『Hissing Fauna,Are You The Destroyer?』からここ最近までの彼らの活躍ぶりを見てそう感じている人は少なくないだろう。
実際彼らは、いや、ケヴィン・バーンズは昔から自分自身の確固たるアイデンティティを保ちつつマイペースに長い間活動を続けてきた。確かにエレファント6(アップルズ・イン・ステレオやオリヴィア・トレマー・コントロール等が所属していた音楽サークル)を離れた辺りからサウンド面に多少の変化はあったものの、軸となる部分は昔から一貫して、全くブレていない。ビートルズや、ビーチ・ボーイズの中後期からの影響が色濃い、実験性と大衆性を兼ね揃えたサイケデリックなポップ・ミュージックの現代的なアプローチ。これは近年のMGMTに代表される新世代によるサイケの新解釈=ネオ・サイケにも通ずる要素だ。そんな音を10年も前から鳴らし続けてきたのが、このアメリカはジョージア州アセンズ出身のオブ・モントリオールというバンドであり、ケヴィン・バーンズという男なのだ。これは時代が彼らに追いついたと言っても決して大袈裟ではないだろう。
そんな彼らの45年ぶりの来日公演。正直、人が入るのかどうか少なからず心配していた部分もあったのだが、どうやらそれは僕の杞憂であった。外人がやたらと多いのがこの国でオブ・モントリオールの知名度がまだまだ浸透しきっていない事を表しているかのようで少し残念だったが、開始直前には後ろの方まで幅広い年齢層のお客さんで一杯になっていた。
そして、予定の開演時間からやや押し気味での暗転と共にケヴィンが登場……と思いきや、出てきたのはタキシードを着た虎男(!?)。ここで肩透かしを喰らった観客(僕含む)は虎男の煽りにも微妙な反応しかできず、呆気にとられている間にメンバー登場。一曲目は前作からの「We Were Born The Mutants Again With Leafing」をややテンポを押さえ目にしてプレイ。ドリーミーなシンセとケヴィンの歌声が絡むだけであっという間にカラフルな世界が目の前に開けてくる。空間を音で埋め尽くすタイプではなく、ギターやベースは余計な味付け等をしない質素な音作りで、音と音の間を大事にしているのがよくわかる。ドラムは打ち込みと生ドラム半々くらいの割合。打ち込みは不思議と温かい感触があり、生ドラムはとにかくパワフル。ダンサブルな楽曲ではこのドラムがずるいくらいにカッコイイ。
そして、彼らと他のバンドとのライブにおける最大の違いであり、最大の魅力でもあるのが演奏メンバー以外の3人のダンサー(?)の存在。彼らが全身タイツやいかにも安そうなお面や変装グッズ(エイリアンのような気ぐるみやマッチョな肉襦袢、キリストっぽい衣装など)を出てくる度にとっかえひっかえ着替えながら、ステージ上で踊ったり、喧嘩したり、小芝居(全部アドリブっぽい)を演じたりして、場を盛り上げる。最後はケヴィンの服から煙が噴いたり、ダンサーの3人が楽器演奏したり(全員ド素人)と、もはや何でもアリ。この掟破りのパフォーマンスと、最新作のアートワークと同じ世界観のサイケでカラフルなVJの映像効果、そして色彩感覚豊かな彼らの繰り出すドリーミーなサウンドにより、後半は不思議なオブ・モントリオールの世界へとグイグイ引きずり込まれてしまった。
最新作と前作からの楽曲を中心に、途中「ヒッピー・ソング」と言いながら披露した新曲を挟んだ約20曲。彼らのライブは映像、音、パフォーマンスが三位一体となって、オーディエンスをカラフルな桃源郷へと連れさらっていく。しかし、こんなに素晴らしい夢のような世界をみせられた後、すぐ現実へと帰らなければいけないこちらの身にもなってほしい。現実に帰りたくない、ずっとオブ・モントリオールの作り出す不思議な世界で生きていたい。そんな叶うはずのない願いを胸に、今日も僕はオブ・モントリオールを聴きながら、現実の世界で生きていくのだ。

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