サム・スパロー

Posted on 10月 20, 2008 
Filed Under interview

野太くセクシーなソウル・ヴォイスを、レトロっぽっくも今っぽいエレクトロ・サウンドの上で操り、

今年「ブラック&ゴールド」の特大ヒットで一躍ロンドンのクラブ・シーンの寵児に躍り出たサム・スパロー。ロンドンとオーストラリア、そして今のLAをグローバルにつなぐボーダーレスな彼のエレクトロ・ソウルの魅力について本人に直撃した。

10/11の幕張でのディーゼルでのライブはどうでした?
「とにかく会場がデカかったのに驚いたね。すっごいデカいサウンド・システムもすごかったし」

日本人リスナーの反応はどうでしたか?
「前からちょっと噂は聞いてたけど、すごく集中して音楽を聴いてくれるよね。ドリンク飲みに行ったりしないし(笑)」。

シングル「ブラック&ゴールド」やアルバムのヒット、おめでとうございます。気分はどうですか?
「まだ僕には新鮮な出来事だね。今年に入っての出来事だけど、ものそごく短期間で世界中を旅しまくってたりしてね。信じられないよ」。

“旅”と言えば、あなたの人生そのものが旅ですよね。あなたはシドニーで生まれて、LAで育って、その後でロンドンに行って。
「うん。本当に奇遇だと思うよ」。

そんな環境の中、どんな音楽を聴いて来たんですか?
「僕は音楽一家の中で育ったんだ。父親はゴスペルシンガー兼ギタリストで、じいさんはジャズのトランペッターだったんだ。だからゴスペルとジャズは家じゃ当たり前のように聴いてて。ソウル・ミュージックもそうだ。スティーヴィー・ワンダーなんかのね。で、
僕も教会で歌ったりしてたんだ。それから、エレクトロ・ミュージックに興味を持ったんだ」

それはどの辺り?
「ハウスだね、最初は。ブラック・ボックスとかマスターズ・アット・ワークとかフランキー・ナックルズとか。それからドラムン・ベースやトリップホップにも行って。あと、僕は長年に渡るビヨークの大ファンだ。そういう音楽に影響を受けて、キーボードやラップトップに4トラックを買って宅録みたいなことをはじめたんだよね」

クラブにはよく行ったんですか?
「うん、かなりね。」

どこのクラブ?LAとか?
「10年くらい前のLAはあんまり良いとは言えなかったな。今は信じられないぐらいにイケてるんだけどね。シドニーのにはよく行ってたよ。LAからいったんシドニーに戻って住んでたんだけど、その時だね。17歳の頃かな」

今、オーストラリアと言えば、そっちのシーンは充実してますからね。
「まさにね。いわゆるカット・コピーやプリセッツをはじめとしたモジュラーの一派を筆頭にしてね。僕も大好きだよ」。

それからロンドンに移る訳ですよね?
「そう。2000年くらいの頃だね。そこでカッコよく音楽のキャリアをはじめたかったとこなんだけど(笑)、その時は芽が出なくてね。
僕はユニバーサル・レコードでバイトまでしてたんだよ(笑)。でも、ロンドンは家賃が高いから生活費稼ぐのでいっぱいいっぱい
だったし、知人も少なかったしで大変だったよ。で、そこでLAに戻って、父の仕事の手伝いをしたりして。そこでも地道に音楽を作っていたらイギリスのレコード会社から声がかかってデビューしたんだ」。

お父さんって、「クィア・アイ」(ゲイがダサ男を改造する人気リアリティ・ショー。日本のFoxチャンネルでも放送中)の音楽担当なんですってね。夕べ見たばっかりなんですよ(笑)。
「えっ、ホントに?」

あれってハウス・ミュージックが主題ですけど、選んでいるのはお父さん?
「選ぶというよりは、彼が作っていると言って良いと思うよ」。

「ブラック&ゴールド」というのは、その頃に出来た曲ですか?
「そうだね。僕は父の仕事も手伝いつつもメインはカフェ店員で、それと並行して音楽活動をしてたんだ。その頃はマーヴィン・ゲイやアル・グリーンみたいなタイプのオーガニックなトラディショナルなソウル・ミュージックをやってたんだけど、それがウケなくて。そこに自分が好きで聴いて来たエレクトロ・ミュージックの要素を混ぜてみたんだ。「ブラック&ゴールド」はその最初の方に出来た曲でね。曲のイメージは夜空に浮かぶ銀河についての曲だよ。ある日空を見上げた時に目に入って来た光景がまさに「ブラック&ゴールド(黒と金。つまり「夜空」と「星の輝き」)でね。ベース・ラインとか、サウンドはものすごく時間をかけたのに、歌詞は20分ぐらいで書けちゃったんだ(笑)。で、それをマイスペースにあげたら、方々で評判が良くて。それが今から2年半前のこと。で2007年の11月にイギリスの会社と契約したんだ」。

そこからが早かったですね。
「全くそうだよ。僕はこの曲の制作とプロモーションでLAとロンドンを行ったり来たりだったから。で、実は3ヶ月前までLAの時給7ドルのカフェの仕事も続けていたからね。その傍らで、スタジオ・ワークとラジオ・プロモーションを同時にやっていたわけだからね。そうしたらイギリスでいきなり2位になってビックリしたよ」。

イギリスで2位だけじゃないですよ。ヨーロッパ全土じゃたいがい大ヒットだし、トルコに至っては5位ですよ。
「インドでは9位らしいよ(笑)」。

そりゃ、すごい?ここまで世界的にヒットした理由ってなんだと思います?
「わからないな。それがわかったら、同じようなヒットをまた出せるよ(笑)。でも、老若男女、いろんなファンがいるね」。

今回のアルバムではリチャードXとポール・エプワースといった大物プロデューサーとの仕事でしたよね。どうでした?
「共に刺激的だったね。リチャードは彼お得意の形があるエレクトロ・ポップのプロデューサーで、ポールは逆になんでもこなせるタイプのキレモノの気鋭タイプだね。ポールとの仕事は刺激的だったな」。

マーク・ロンソンとも共演したんですよね?
「コーチェラ・フェスティバルのステージでね。彼ともスタジオに入りたいと話してるとこでね。彼はすごく頭の回転が早い人だよ。で、あれだけセレブになったにも関わらず、ものすごく腰の低い人でさ。みんなに対し礼儀正しいんだ」。

リンジー・ローハンに曲を書くという話もマークが縁で?
「いや(爆笑)、う〜ん、でもある意味そうかな。サマンサ(・ロンソン、マークの妹でリンジーと恋仲のレズビアン)が彼女のDJで僕の曲をしょっちゅうかけてくれてるらしいから、リンジーはそれで僕のことを知ってくれたんだ」

次のアルバムは来年あたり?
「そうだね。多分、可能性的な濃厚なのは2010年の頭あたりかな」。

次はどんなサウンドになりそう?
「変化があるのは間違いないね。エレクトロでソウルフルな路線には変わりはないんだろうけど、そこに今回入れ損なったギターの要素なんかを入れたいな。クラッシュの大ファンなんだけど、あんな感じで」。

「ロック・ザ・カスバ」とか?
「そう(笑)。まさにあんな感じで」。

今後の予定を聞かせてください。
「アメリカに戻ってからはちょっとオフを年末にかけてとって、1月からオーストラリアでツアー形式のフェスティバルに参加するよ。
プリセッツと一緒にね」。

オーストラリアと言えば、ARIAアワード(オーストラリアのグラミー賞)に今回5部門もノミネートされてるんですってね。
「そうなんだよ。子供の時から雲のように思ってた賞だから不思議な感じだけど。なんか1部門くらいは取りたいよね(笑)」。
(10/14 ユニバーサル・ミュージックにて)
取材:沢田太陽

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