Loyalty To Loyalty / Cold War Kids

Posted on 2008.10.12 
Filed Under album review



Loyalty To Loyalty/Cold War Kids
 ある意味、今のアメリカから出て来て欲しかったバンド。それが僕にとっては、このコールド・ウォー・キッズだ。近年のボブ・ディランやトム・ウェイツが放つ、アメリカン・ルーツ・ミュージックの持つダークで混沌としたミステリーを、若手で、かつ“アメリカーナ“という名だけの小さな枠にはまらずに継承してくれる存在。これがなかなかいそうでいなかったから。加えて、しばらく“アメリカン・ロックの中心地“から離れて久しい音楽処LAの久しぶりの大物。デビュー作がまずイギリスのメディアから火がつき、アメリカでもロングヒットにつながった背景としては、そうした期待感が間違いなく高かったはず。今回、この2枚目にあたる新作が全米チャートで21位に入ったのも、充分にその期待の裏返し。内容も決して悪くはない。基本的にはデビュー作で見せたルーツィーな感覚をネイザン・ウィレッツのスケールの大きなヴォーカルで支えるという路線を固めたもの。これが仮に彼らをはじめて聴く作品なら上出来だと思う。だが、ブラック・キッズの曲名じゃないが、「もしかして彼らは自分のことを過小評価しているんじゃないか」。そう思える瞬間が多いのもまた事実。シーンを担えるだけの潜在能力があるのに、それに気がつかずに作れる範囲のものをマイペースに作りすぎてしまっているのではないか。もう少し大きなテーマ性に自らを追い込んで行けば、キングス・オブ・レオンやマイ・モーニング・ジャケットに比肩するくらいの存在になれるはず。今作で地固めはもう出来たと思うので、次で一気の飛躍を期待したいところだ。
(沢田太陽)

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